最近は、ヒグチアイが好きだ。
きっかけはある土曜の夕方、消すのが面倒で流しっぱなしにしていたradikoから流れてきた彼女の歌声だった。
そのとき聴こえた曲名は忘れてしまったが、彼女の強い歌声とハーモニックな曲調に強く惹かれた。
便利な時代の便利なインターネットのおかげで僕はすぐに彼女の曲をYoutubeで聴くことができた。
それにしてもヒグチアイという名前がよい。本名なのかはたまた芸名というやつなのかそれはこの際どちらでもよい。
力強さと愛らしさを敷き詰めたような、収まりの良い5文字。
ところで僕の苗字はそれだけで5文字ある。メジャーな苗字でもないので自己紹介は苗字で済ませることが多い。
そのせいか特に名前を書くときは昔から名前のほうの数文字はどうも蛇足なような気がする。
決して嫌いな名前ではないのだけれど。
幕が閉じきる前の演者の小さなおふざけのような、お母さんにばれないように子供がかごに入れたスナック菓子のような、くすぐったい蛇足感。
でも、それが僕にとって多分ちょうどいいのだと思う。
僕がヒグチアイでないように、彼女も僕(の名前)ではないからあんな素敵な声で強いメッセージを歌えるのだと思う。
当たり前か。
一番の友だちは 裏側の自分だから いつまでも勝てなくて ときどきはつらくなる 迷った道で拾った何かを ポケットにつめて ぽたり - ヒグチアイ