五月は何とか見繕った土曜日の半日を使って、写真と撮りに出かけた。
実は今の家とギリギリまで候補検討した物件が最寄り弘明寺駅のアパートだった。
もしかしたら住んでいたかもしれない土地というロマン。
商店街を抜けて住宅街へ。このあたりはどっちに歩いても坂。
茹だるような暑さ。
方向感覚だけは生まれつき優れているので、そうだろうという方向にのんびり歩くこと2時間。
気がつけば一昨年まで住んでいた黄金町周辺にたどり着いていた。
どうなっているだろうと前の住居を見に行くとベランダに知らない布団が干されていて、ああ、ここにも新しい生活が流れているんだとかそういうことを感じた。
不思議なもので、あの頃よく通っていた蕎麦屋より、外国人しか働いていない近所のセブンイレブンの方がはるかに懐かしく思えた。
すぐそばの、雨の日も本を外に出しっぱの、寡黙な親父がやっている古本屋は潰れているんだか休んでいるんだか、シャッターは降りたまま。