気づけば上を向いてシャッターを切っている。
はじめは、空だと思った。
白い雲が青い空にふわりと浮かび、静かに色を分かち合うように広がっている。
けれど、違っていた。
わたしは線を見ていた。
建物と空の境界に現れる線。
その線は、ただの境目ではなく、何かを区切るものでもなかった。
風が吹き、雲が形を変え、線が揺らぐ。
無数の線と線の隙間にある無言の空間が、わたしの中の静けさを映し出している。
シャッターを切る音が、再び風に消えていった。
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ちょっと変わったフォトブック作りました。
A5横サイズ、32頁、今だけおまけ付き。
よかったらどうぞ。