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2023-12

[current] : カレント という英単語について考えている。

名詞だと「流れ」「電流」などと訳すのが一般的で、

これが形容詞になると「現在の」「流行の」といった意味になる。

不思議だ。

写真を撮ることは「流れ」を捕まえることに他ならない。

何の?光?人?風景?空気?…気持ち?

いやいや、きっと、なんでも。

来月のこと、来週のこと、今日のこと、昨日のこと、…つぎつぎ目の前を流れていく。

しずかな強度が必要だ。

(テキストでは削がれてしまう、細部に執着したい・固執したい。)

強い幹、頑丈な土台。

…でもその立派な土台の上に何を立てるか、決めるべきなんじゃないか。

自分の撮った写真には煮え切らないその態度が、全部が映っている。

でも、その態度が決して一方的に悪とも思えないんだよな。

子供のプレゼントにカメラを上げようか悩んであげなかったという文章を読んだ。

きれいな夕陽を見て「きれい」と思えるか。「カメラはどこだ?」と思ってしまうか。

まったくその通り。でもカメラを始めてから曇りも雨もぜんぶ好き。

「写真」を「誰でも今すぐできる軽率なアウトプット」と言った写真家がいた。

カート・コバーンがギターを「死んで朽ちた木」って言ったのと同じ。

(まあ、実際には言ったとか言ってないとか。)

一瞬の動作で、今日のことを今日のことのように未来に残せる。

なんてわがまま。なんて残酷。

けど、仕方がない、針は進む。人には見せないアティチュードを忍ばせる。

早朝、そっと窓を開ける。冷たい風が頬を撫でる。フレームの中で猫が欠伸をする。

だって仕方がないよな、がこの生活にきっともっとあってほしい。

無事に、30歳になりました。

結婚式しました。

結婚式を挙げました。いろいろ頑張ったので忘れないうちにまとめておきます。

(注意)来てくれたゲスト向けの記事です。来てない人はどんな式だったのか想像しながら読んでください。

全体

  • 私たちの式は、IWAI OMOTESANDOという会場で挙げました。去年の夏に契約したので一年以上準備していたことになります。結果、ここで挙げてほんとうに良かったです。これは感情的な面ももちろんありますが、契約してから後々知ることになるウェディングビジネスの側面でもIWAIの料金体系は(高い安いではなく)受け入れやすいものでした。
  • 大きな特徴としては、披露宴は自分たちで司会進行をやることにしました。これは最初から決めていました。滑っても白けても、まあそれが自分たちなりの感謝の気持ちとして伝わるかな、という期待を込めたつもりです。結果、一番ウケたのは挙式中に僕が奥さんのベールアップに失敗したところでした。
  • いろんなものを自作したり、オリジナルのものを持ち込んだりしたのでここから長々と解説していきます。

プロフィールブック

○ 制作

  • 二人ともOZ magazineというタウン情報誌を読むのが好きなのでこれをデザインの参考にして頑張りました。「どこかでテンプレート買ったの?」と聞かれたりしましたが、奥さんがPowerPointで一から制作しました。
  • 装飾用のフォントは僕がFontshareとGoole Fontを眺めて決めました。
  • 表紙は去年秋に鎌倉の英勝寺で前撮りした写真を使っています。
  • 冊子自体は全部で16頁あります。準備期間中に他の夫婦の制作事例を数え切れないほど調べましたが頁数は結構多い方です。なにせドリンクや料理紹介は会場が別紙で用意してくれているので、本当に何を書いているのやら…。欲しい人はDMください。
  • ちなみに最近だとオリジナルプロフィールブックはCanvaで作る人が多いらしいです。後ほど出てくるキンコーズのスタッフに教えてもらいました。

○ 印刷

  • 印刷はプリントパックオフセット印刷でしました。サービス側は安くて早いオンデマンド印刷をおすすめしていますが、試し刷りを比べた結果、正直比べ物にならないクオリティでした。値段も倍以上だし、時間もかかるけど、せっかく自作するならオフセット印刷一択だと思います。ただ、印刷所自体の検討はしなかった(時間がなかった)ので、もっと低価格でより良いクオリティのものが印刷できる場所はあるかもしれません。

○ ポストカード

  • 右の記念ポストカードは本番直前で僕が「入れよう!」と思いつき、制作したものです。今日紹介するものの中で、順番的には一番最後に着手したものになります。8月に作った作品をリメイクしたものです。キンコーズのポストカード印刷で「しこくてんれい」というかっこいい名前の和紙で印刷しました。

コースター

  • せっかく趣味でCreativeCodingなんて洒落っ気づいたことしてるんだし、何かやろうと思い準備しました。作品にひねりはありませんが、ゲスト全員に違う柄のものを用意しました。
  • 中央の「1112」は式を挙げた11月12日を意味しています。
  • 式中は敢えてこのことに触れませんでしたが、終わった後、何人かの人に気がついてもらえたのでよかったです。

  • (追記)せっかくなのでコード公開しておきます。 openprocessing.org

○ 印刷

  • 印刷がかなり悩みました。なにせ、せっかくオリジナルで用意しても、濡れて滲んでしまったり破れてしまったらコースターとして元も子もない。はじめは防水スプレーやラミネート加工を考えていたのですが、手間賃を考えるとあまり現実的ではなさそう。そう思い、最寄りのキンコーズで相談しました。
  • 専門のスタッフから「その用途であれば”シナップス クリーン”という特殊コーティングの耐水紙が良いかも。」とおすすめされました。
  • サンプルを手に取ると、いわゆるコースター的な厚紙感はありませんでしたが、たしかに水には強そうだし、折れや汚れにも強そう。結果、これにしました。
  • A4に6枚ずつ印刷して、ひたすら家で裁断しました。さらに角を丸めるためにサンスター文具の「かどまるPRO」を購入しました。腕が死にました。

プチギフト

  • 一番紆余曲折したのがプチギフトでした。ゆるーくサーチしてた期間を含めると、半年くらい探してたと思います。
  • 途中、キリンのmoogyに決まりかけたのですが、冷えていないと生姜の風味がかなり強くなることを知り断念。採用はしませんでしたが、僕はmoogy大好きなのでまた買います。
  • 最終的には、奥さんが見つけた金沢の和菓子屋「茶菓工房たろう」の最中に決めました。四角くて中身も詰まっているので、まとめて持ち運びやすいのも結婚式の準備においては加点対象でした。
  • 袋の表面のシールは韓国のサービス「OHPRINT.ME」というのを利用しました。
  • 袋に最中以外にも2つのものを入れました。

○ 切手

  • プチギフトの中にオリジナルの切手を合わせて入れました。春ごろにフォロワーが自作しているのを見て、そんなサービスがあるんだ!と参考にしました。デザインはコースターでつかったものを流用しています。日本郵便このサービスはあまり知られていないと勝手に思っていますが、予算を抑えつつオリジナリティあるものが作れるのでおすすめです。(前撮りの写真とかでもいいですね。) 

○ プチ手紙

  • これは奥さんが頑張りました。ウェディング準備ハイみたいなやつだったと思います。ウェルカムスペースでゲスト全員へ手紙を書いて送った上で、さらにここでもミニメッセージカードを同封する、それも手書きでやると最初に聞いたとき、正直「そこまでやるか?」と思ったのですが、紙までこだわって選んでいたので応援するしかないな、と。(僕は字が下手なので書きませんでした…。)

フォトブック

  • ウェルカムスペースに夫婦二人が普段撮っている写真を展示したかったので、その展示方法を模索しました。
  • シンプルに写真集がいいな、と思い自作フォトブックのサービスについて調査しました。
  • 無印良品BON Order Bookにお願いしました。photobackという類似サービスと最後まで悩んだんですが、オンラインでのデザイン制作の自由度がBONの方が高かったのでこちらを選びました。
  • 入稿してからだいたい半月くらいで発送されました。紙質も写真の発色も文句なしです。
  • 3000円で24頁というの高いとみるか安いとみるかは人それぞれですが、結婚式の明細見てたら誤差でしかないので迷ってたら作りましょう。

写ルンです

  • ゲスト卓に懐かしの"写ルンです。"を配置しました。
  • 全部で5台購入しました。(今って1つ2000円するんです…。)
  • 購入時の表面のシールは一度すべて剥がして型を取り、それをもとにデザインペーパーをカットして作りました。
  • 自己満足の類のものなので(おそらく使い切られることはないだろう、余ったら趣味の撮影に使おう)と思っていたのですが、後片付けのときすべて使い切られていたことに気がついてちょっと感動しました。

ウェルカムボード

  • これは自作したものではありませんが、オリジナルのものを用意したので解説させてください。
  • 大きなキャンバスボードなどに前撮りの写真を載せる夫婦が多いですが、王道すぎるな、それでいいのかと迷っていたタイミングで、偶然入ったカフェ兼アトリエみたいなところで個展をされていた名古屋の刺繍アーティストmaminさんと出会いました。
  • 作品を見て、その場で依頼を決意して、インスタのDMで相談しました。
  • 肝心のデザインをどうするかとなったときに思い付いたのがバナナマンの単独ポスターの写真でした。
  • 迷った挙句、”Emerald Music”のポスターをベースに制作を依頼しました。
  • フォントや配置物などだいぶ無理を言ってお願いしたんですが、制作期間約2か月で完成品が届きました。
  • 最高の出来でした。求めていたものすぎる。一生の宝です。

お車代

  • 私たちは東北で出会った夫婦なので遠方から来てくださるゲストが多かったため、お車代にも一工夫施しました。といっても、封筒を自作したくらいですが。これも手先の器用な奥さん主体となって制作しました。僕も手伝いましたが、本当に不器用で役立たずでした…。

生ハムとビール

  • 奥さんの実家が毎年家族で生ハムを育てている稀有な家庭だったこともあり、披露宴で原木をカットして大盤振る舞いしました。今見ても、すごい光景。

  • 僕といえば、クラフトビール。用意したのは以下の国産ブルワリーから厳選おすすめ30缶です。

BGM

  • お互いが3か月ほど前からかけたい曲を出し合ってSpotifyのプレイリストを準備しました。
  • 奥さんはもともとCDをいっぱい持っていたので手持ちの中から選びましたが、僕はメルカリなどを使って20枚ほどCDを買いました。
  • これは有益な情報ですが会場の音響によって曲調の合う合わないがあるので、可能であれば事前に会場での視聴はするのをおすすめします。視聴を経て、追加した曲も、削除した曲もあります。
  • 同世代もしくは上の世代の人にお伝えしたいのは、いつの間にかコンビニからCDは消えました。100均にはあります。
    • CD原盤の準備と同じくらいBGM指示書の準備も大変でした。なぜなら、これを決めるためには、それぞれのコンテンツの尺をFIXさせる必要があります。我々のような頭からお尻まで定番から外れた披露宴だと参考になるものもないので本当に大変でした。

クイズ大会

  • いわゆる披露宴でやる系コンテンツは(プロデューサーからのアドバイスもあり)ほとんど省きました。
  • たとえばゲストの余興は人によっては負担だし、終盤の親御さんへの挨拶、親御さんからの挨拶も、それぞれが最後のそれに向けて緊張してしまい、歓談タイムで落ち着いてゲストと話せなかったりしてはもったいないと判断しました。
  • ファーストバイトも見ている分には楽しいけど自分でやるのは恥ずかしいので省略しました。
  • といっても、何もないと寂しいのでクイズ企画を用意しました。まあ、これもよくあるやつだと思います。
  • 料理や他の演目の都合上、クイズは10分しか尺がないのに対してスライドは80枚くらいになりましたが、新郎が進行、新婦がタイムキーパーを担当することでギリギリ終わらすことができました。

○ 景品

  • クイズ大会は内容よりも景品が命です。ここでも何か自分達らしいものを、と考えて二人でよく行く鎌倉のお店の商品を5点セットとしてまとめて景品にしました。

  • 買い出しはオンラインで済ませてもよかったのですが、本番直前の連休になんとか時間が取れたので二人で直接お店に買いに行きました。(結婚式で使う景品なんです、と伝えると、お店の人たちはみんな親切にしてくれました。小さいことだけど、これが結構うれしかったです。)

衣装

  • 新郎は人生初のオーダーメイドのスーツ、新婦はレンタルのウェディングドレスと、お色直しで着物をリメイクしたドレスを着付けました。着物ドレスのお店は京都にあるとても面白い会社なのでチェックしてみてください。早くメンズものも作って欲しいです。
  • お色直しの際に新郎はネクタイ→蝶ネクタイに変えたのですが、この蝶ネクタイは新婦のドレスのもととなった生地のはぎれを新婦友人にお願いして蝶ネクタイにリメイクしてもらいました。すごく素敵なデザインになりました。ありがとうございます。

EDロール

  • 式場の専門スタッフに頼む方が多いそうですが、個人的に値段が高く感じてしまい、自作することにしました。
  • と言っても、なかなか良いアイデアが思い浮かばず、After Effectのプロジェクトだけ作って本番一か月前になりました。
  • 上に書いたような準備を進める中、この作業風景を映像に取っておいて使えばいいんじゃないかと天才的な発想に至りました。
  • 居間のテレビの前に三脚を立てて、あとはひたすら録画しておきます。
  • 普段スチルしかやらないX-S10でほぼ初めてのビデオ撮影をしたんですが、バッテリーの減りが速くて驚きました。予備を買っておくべきでしたね。
  • 都内某所でTouchDesignerの先生をしていたので、それを使った写真無限空間みたいなのを作って差し込見ました。
  • 知らない人は驚くし、うちの会社のメンバーとかは「TouchDesignerじゃんこれw」みたいなウケ方をしてくれたらいいなと思いました。(案の定そうなりました。)
  • あとはお互いの両親からもらうだけもらって全然使ってなかった幼少期の写真を明治安田生命CMスタイルで流すというよくある感じです。
  • 楽曲はMr.Childrenの"turn over?”を選びました。(奥さんの選曲。)尺が3分ちょいでちょうどよかったです。

ほかにも、ゲストのみんなへの手紙やキャッチコピーの準備(一番大変だった!)についても書きたいところですが、これからIWAIで式を挙げる人やゲストとしてIWAIに行く人の楽しみを奪ってしまいかねないので省略します。


最後になりますが、ご列席いただいた皆さんに改めて感謝します。

これからも末長く、よろしくお願いします。

P.S. これ読んだ奥さんが「私が一人で頑張って作ったウェルカムミラーの紹介がないじゃん!」と怒っていました。謹んでお詫びします。