25歳を超えてから急に涙もろくなったような気がする。
10代の頃、泣かなかった分の涙が痺れを切らせて溢れているみたいだ。
もちろん大人なので何でもかんでもワンワン泣くわけではない。
じゃあ一体どんなものに自分は涙するのか考えたとき、それは「まっすぐなものを見たとき」という結論に至った。
自分が曲がりくねった性格だから、いや正しくは曲がりくねった性格ということに自覚的になれた今だから「まっすぐなもの」を見たり感じたりしたときに自然と涙が出てしまうのだろう。
それはある意味では憧れであり嫉妬であり怒りであり愛である。
「サザンと彗星の少女」はまさにそんなまっすぐなものに弱い僕が久しぶりにやられた漫画だった。
- 作者: 赤瀬由里子
- 出版社/メーカー: リイド社
- 発売日: 2018/04/18
- メディア: コミック
- この商品を含むブログを見る
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ところで話は変わるけど僕は世の中にはびこる"予告"というものが全般苦手だ。
ドラゴンボールが手に入って何か一つ願いが叶うならきっとこの世から予告を無くすだろう。
映画の予告編で見たシーンが映画の本編に流れるとそれがどんなにいいシーンでも急に冷めてしまう。
先日彼女に「君はロマンチストだから」と言われた。
そんなバカな、とそのときは思ったが、たしかにこういうところはロマンチスト資質なのかもしれない。
(頭が固い、とも言える。)
エンターテイメントとの出会いは可能な限り偶然がよく、そのほうがより愛着が持てる。
そんな僕は月に一度街の大きな本屋に行って知らない本を買う。
あるときはエッセイだったり漫画だったり小説だったり。
今月は漫画だった。赤瀬由里子 著「サザンと彗星の少女」
20代新人作家さんのデビュー作にして「マンガ大賞」にノミネート。
(マンガ大賞にノミネートされたような立派な作品を今更「偶然の出会い!」と声高らかにいうのはなんとも恥ずかしいが...。)
ストーリーはボーイミーツガールなSFの王道。
上下巻で500P程度。
なんとフルカラー、フルアナログの作画。
キャラクターデザインはもちろん、宇宙船や登場する道具のディティールがポップで非常に魅力的だ。
オールカラーゆえ値段はちょっとお高めだが、オールカラーでなければもしかしたら物語の魅力は半減していたかもしれない。
あらすじは予告と通づるところがありわざわざここには書かないが、キャラクターの良さであったり小ネタの挟みかただったりがとにかく好きだ。
(余談だがキッドの声優は僕の中では斎藤志郎さん一択だ。読んでもらえればきっとわかる。)
過去の有名作品のオマージュがどうだこうだいろいろ語るべきポイントは多い作品だと思うが、とにかく心臓ど真ん中にまっすぐ向かってきて読後もすっきりとさせてくれる作品だ。
アジカンの「ループ&ループ」みたいな漫画だった。(歌詞云々ではなく。)
どうか世間の評価や試し読みなどせず、優希と勢いに身を任せて買ってみてほしい。
サザンと彗星の少女が発売されてから一年が経ちました。
— 赤瀬 由里子★単行本上下巻発売中! (@akaseyuriko) 2019年4月18日
2度の重版やマンガ大賞5位入賞を果たせたのは応援してくださった皆さまのお陰です。本当にありがとうございました!
マンガは難しいけど、夢があり、楽しいです。これからも自分の信じる方へ頑張ります。https://t.co/R5sgHzUuYM pic.twitter.com/dhhIxcz5fW